言葉遊び-「しりとり」の絵本
『ままです すてきです すてきです』(谷川俊太郎文、タイガー立石絵、福音館書店)は、ちょつとかわった絵のついた、しりとりの絵本です。
ちくおんき-きく-くま-ままです-すきです-すてきです-すてーき-きらいな-なまけもの-のりまき-きった-たべよかな-なぜか-かるい-いわ-わらう・・・くらやみ-みしみし-しくしく-くすくす・・・・
「しりとり」は、名詞ことばの最後の一文字をとって、ことばをつないでいくのが普通です。しかし、この絵本は、ご覧のように、そのきまりが破られています。
名詞だけでなく、形容詞、動詞、声喩、はては文までが「しりとり」になっています。
でも、ことばのつながりに、リズムがありますから、うまくそれに乗せられてしまうのです。
この絵本の魅力は、 ことばとことばの意外な結びつきから生まれるイメージの面白さにあります。
ごじら-らっぱ-ぱんつのつながりには、ユーモアを感じます。
みみ-みみずく-くらやみ-みしみし-しくしく-くすくす-すべすべ-べたべた-たらりたらりのつながりが作り出すイメージは、なんだか妖怪でもでてきそうな雰囲気です。
この絵本では、「いわ」と「うし」は、「わらう」ということばを仲立ちとしてつながっています。
「いわ・わらう・うし」は、ふだんの会話のなかでは決して出てこないことばの組み合わせですし、現実の世界ではけっして結びつかないものごとです。
しりとりの世界だけで成り立つことばの結びつきですが、このような芸当ができるのは、ことばが具体的な「もの」ではなく、抽象的なものだからです。
このようなことばの取り合わせの面白さが、子供たちの空想をかき立て、想像力を刺激します。
「しりとり」は、語彙数の多くなってくる3歳ぐらいから楽しめる言葉遊びではないかと思います。「しりとり」は、どこでも楽しめます。道具もいりません。ドライブ中の車のなかでも楽しめます。「ら」「る」「ず」で始まることばが少ないので、そこを攻めるのがコツです。