ふるはしかずおの 絵本ブログ

絵本をちょっと身近に。

条件を変えると機能もかわる-かこ・さとしのかがくの本

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 古はがきの1枚から、力学の世界を解説してくれる素敵な絵本です。

 よわい紙も、V字型、コの字型、H字型にしますと、たくさんのものをのせることができます。よわい紙のなかから、つよいかたちがあらわれました。

 ここに書かれていることは、子どもといっしょに確かめてみることができます。子どもとできるやさしい実験なのです。

 身近な題材、実験による検証、意外な結果は、どれも子どもたちの興味をひきます。

 また、語り手は、聞き手の興味をひくように語っていますし、ユーモアもあります。

 かこ・さとしさんの文章の特徴です。

 同じ紙でも、形や置き方によって強度が違ってくる事実。駅や街や工場で、同じような形が使われていること。これらの事実は、私たちの知識を広げてくれます。今まで「このようには知らなかった」のです。

 「まったく同じ物質材料が、その置かれた状態、周囲との関係によって、異なった性質、機能に転化する」とかこさんは言っています。

 条件を変えると機能も変わるのです。

 また、こうしたものの見方は、子どもの見方に通じているように思います。

 子どもたちも、周囲の状況や関係が変われば、まったくちがった人間になることがあるというようにです。この絵本は、力学の知識だけでなく、子どもの見方まで教えてくれました。

 おすすめの一冊です。