ふるはしかずおの 絵本ブログ

絵本をちょっと身近に。

「わたし、スイミーと結婚する」

f:id:k_furuhashi:20130329230115j:plain

 

 「わたし、スイミーと結婚する」と言った女の子がいます。「スイミー」の絵本の内容をしっかりととらえた言葉です。

   みんな あかいのに 一ぴきだけは からすがいよりも まっくろ、

   でも およぐのは だれよりも はやかった。

   なまえは スイミー。

 スイミーの人物像がでています。真っ黒なスイミー。だれよりもはやく泳げるスイミー。

 元気のよい男の子のイメージが浮かんできます。

 これらの性格(まっくろ、およぐのはだれよりもはやい)は、おはなしの伏線になっています。 真っ黒なので、最後にスイミーは、「目」になることができました。

 だれよりも速く泳げたので、まぐろから 逃げることができたのです。

 あるひ、おそろしい まぐろに襲われて、仲間のさかなたちは、みんな食べられてしまいました。

 スイミーは、仲間を失ってしまったのです。悲しい、つらい体験です。

 しかし、海のおもしろさも体験して、スイミーはすこしずつ成長していきます。

 後半は、ひとまわりも、ふたまわりも、大きくなったスイミーを見ることができます。

 「おおきな さかなに たべられて しまうよ」と心配するさかなたちに、こういいます。

 「だけど、いつまでも そこに じっと してる わけには いかないよ。なんとか かんがえなくちゃ。」  

  スイミーは考えます。スイミーのイメージが大きくなりました。

 そして、こんなアイディアを思いつきました。

 「みんな いっしょに およぐんだ。うみで いちばん おおきな さかなの ふりして!」

 スイミーは仲間のさかなたちに、いろいろなことを教えます。 教え、行動するスイミーへと、ますます、成長していきます。

 そして、「みんなが 一ぴきの おおきな さかなみたいに およげるように なった とき」、彼は、こう言うのです。

 「ぼくが、めに なろう。」 (  I‘ ll be the eye.)

 スイミーの成長が、目に見えるようです。目になるというのは、一番危険な役割かもしれません。否、きっとそうです。

 そのように大事な役割を、スイミーは、すすんで引きうけようとしています。

 「考え」「教え」「行動する」スイミーは、頼もしいリーダーです。

 そして、冒頭の女の子にとっては、結婚したい相手なのです。