かがくの絵本は、おもしろい。ためになる。
すてきな科学の絵本です。
鼻のはたらきがわかりやすく説明されています。
匂いでものがわかる、鼻の働きで味がよくわかる、鼻からすった空気をきれいにしたりあたためたりするなどの働き(機能)が、読者に疑問を投げかけながら、対話的に説明されています。「認識するためには実践が必要であるというのか゜、この本のいちばん肝心なところです」と訳者の松田道郎さんは、解説のなかで強調されています。
そして、読み終わって、「なるほど」とうなずかせる説得性を持っています。
本文に味と鼻の関係について、このような文があります。
「鼻をつまんだとき味はわかるのだろうか」というのです。
いろいろなジュースを飲んでみます。絵本ではオレンジ、レモン、グレープ、トマトのジュースで実験です。
鼻をつまんで、ジュースを飲んでみます。匂いがしないと味はどう変わるのでしょうか。
「あじは だいぶ なくなってしまいます。」
「あじは、あまり わからなくなります。」
「はなの はたらきで あじが よくわかるのです。」
はっきりと確かめられたところは断定していますが、そうでないところは、このように確かさの度合いをきちんと表現しています。
条件を限定した実験・観察の手続き、
鼻の機能にしぼった説明、
仮定の方法による説明の仕方(もし,風邪をひいて鼻が十分はたらかないと、匂い、味、発音はどのようにかわるのか)など、作者のシャワーズさんの説明のしかたや文章の運び方に感心しました。
この絵本は、現在、書店で購入することはできないようですが、お近くの図書館にはあることでしょう。