目に見えないもの、母の愛を見る絵本
あるとき、こうさぎは家を出て、とこかへ行ってみたくなりました。そこで、かあさんうさぎに言います。
「ぼく、にげちゃうよ」。
すると、かあさんうさぎが いいました。
「おまえが にげたら かあさんは おいかけますよ。だって、おまえは、とっても かわい い わたしの ぼうやだもの。」
この後、こうさぎは、小川のさかなになったり、たかい山の岩になったり、クロッカスになったり、ことりになってにげだすよと、かあさんうさぎに言います。
かあさんうさぎは、りょうしになったり、とざんかになったり、うえきやさんになったり、木になったりして、こうさぎを見つけたり、待ったりするのです。
そして、最後は、逃げだすのをやめて、お母さんの子どもでいることになります。
親子の会話がくりかえされる絵本ですが、文の形がとても整ってい素敵です。
また、くりかえしのなかに、子どもを慈しみ育てる母親の愛情があらわれています。
愛は、目に見えるものではありません。でも、この絵本では見えてくるのです。もっとも美しい人間の心として、体験されるのです。
マーガレット・W・ブラウンの絵本は現在数多く出版されていますが、『しずかでにぎやかなえほん』(童話館出版)もそのひとつです。